小野会長の小論文を更新しました。

2013年05月27日 17:39

いよいよ財政破綻=国債暴落=経済復活が始まるか?
 
株価上昇が止まらない。5月17日には日経平均株価は15138円まで上昇した。野田前総理が解散を約束したときは8664円だったから、半年で約75%も値上がりした。この調子で値上がりすると1年で3倍になる。当然のことながらこの調子で株価が上昇を続けていると、国債から株へのシフトが起きる。国債の金利は年率僅か0.3~0.8%だ。株のほうが数百倍も効率よく稼げるとなれば、国債を売って株を買いたくなるのは当然だ。その流れは明らかだ。日銀が大量に国債を買い始め4月5日には金利は史上最低の0.315%にまで下がったが、その後国債から株への流れが始まり、5月15日には金利は0.92%にまで跳ね上がった。これを放置すればもちろん国債は暴落し、政府が国債を売ろうにも売れなくなり、いよいよ財政破綻か??
 
今まで、十数年間もの間日本はデフレに苦しんできた。我々は一貫して「お金が無いなら刷りなさい」、つまり「日銀は国債を買いなさい」と提言してきた。しかし、そうすると国債の信認が失われ国債が暴落し、財政が破綻すると反論された。国債が暴落しそうなら日銀が更に国債を買えばよいだけだと言うと、そうすればハイパーインフレになると再反論された。今、やっと我々の主張が実行に移され、日銀が国債を大量に買うようになった。円安・株高で日本全体が明るいムードになってきた。私の主張通りのことが起こっている。しかし、問題はこれからだ。デフレ脱却に向けての努力は始まったばかりで、とてもデフレ脱却が視野に入っているわけでない。
 
先日、実質GDPが年率換算で3.5%成長したとし、甘利大臣が「景気回復への歩みが始まった」として、消費税増税に意欲を示した。しかし、GDPはまだ474兆円にすぎない。2007円には513兆円、1997年には524兆円であったことからすれば、大きく経済が縮小したまま、回復にはほど遠い。どんどん縮小する経済に指をくわえて見ているだけの馬鹿な政府は世界中で日本しかいない。GDPデフレーターは前年同期比でマイナス1.2%でありデフレ脱却の展望は全く見えてこない。それでも消費税増税を強行しようというのだ。5月17日の日経新聞には、シンクタンク10社の予測が出ている。その10社の平均だと実質成長率の2013年度が2.7%、2014年度が0.8%だ。来年度はこんなに経済が落ち込むのだが、皆さんそれでよいのだろうか。景気はよくなっていないし、来年度もよくならない。デフレ脱却の最後のチャンスを失ってもよいのか。
 
消費税増税をやらないと年金がもたないという馬鹿な論理に騙されてはいけない。円安・株高のお陰で年金積立金に巨額の運用益が出ている。昨年の10月~12月だけで5兆円、今年1月から5月までで恐らくその倍以上になっているはずで、そう考えると5%から8%に消費税を上げて得られる消費税の増加の約8兆円をはるかに上回る。消費税を上げて景気を悪化させ株価を下げ、巨額の運用損を発生させる必要はない。
 
日銀は(お金を刷って)2014年度末までに資金供給量を270兆円にするという。この巨額のお金は金融機関に行くだけ。それを国民に渡して経済活動を活発にしなければならないのに、なぜ消費税増税で国民からお金を奪おうとするのか。そのうちのたった1割、つまり27兆円を減税、公共投資、医療、介護、教育、自然エネルギー開発、ロボット開発等に使っただけで日本経済は大きく躍進する。
 
それをやれば国債が暴落するとでも言うのだろうか。国債を売る人が増えれば、日銀が対抗して買えばよいだけ。無限の通貨発行権を持つ日銀が必ず勝つ。そうすればインフレになるというのか。インフレ目標2%が達成できればそれは歴代総理が夢にまで見たことだ。今のままでは、2年後のインフレ率は0.6%であるというのが民間エコノミストの平均値だ(5月15日の日経新聞の記事より)。インフレ率が高くなりすぎたら増税すればよい。
 
大部分の国民はアベノミクスの恩恵にあずかっていない。そこへ円安からくる輸入物価の値上がり、消費税増税、景気対策の打ち切りのトリプルパンチはひどすぎる。
 
我々の主張は財政を破綻させよ。そうすれば国債に釘付けされていた大量の資金が動き出し、経済がよみがえる。国債から株への資金の流れが大きくなればそれが実現する。頑張れ、あと一息だ。

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