2013年07月09日 06:50
参議院選挙が公示された。今回は与党の圧勝が言われている。もちろん、野党にも正しい経済政策を理解している議員はたくさんいる。しかし、それぞれの政党の公約にそれが反映されていないのは残念でならない。民主党は一度政権を担当したのだから、彼らのマニフェストを実現するチャンスはあったが、それがなされず、それとは反対にマニフェストに書いてなかった消費税増税法案を成立させてしまった。国民に対する裏切りと言われ、前回の衆議院選で大敗し政権を奪われてしまったのも自業自得と言われても仕方がない。
これから民主党が出直そうというのであれば、何が悪かったのかしっかり反省することから始めるべきだ。政権を取る前の民主党のマニフェストにはたくさんの数字が並んでいた。それがことごとく実現しなかった。その「反省」として、今後は数字目標を書かない戦略に転換したのはお笑いだ。これでは日本経済を立て直して皆さんの暮らしをよくする能力は我々にはありませんと宣言したようなものだ。
民主党は実質成長率2.0%、名目成長率3.0%を実現すると言っていたのに、民主党が政権を担当していた間の名目成長率はほぼ0%だった。しかも今回の参議院選挙でもぬけぬけ実質成長率2.0%、名目成長率3.0%を実現するなどと言っていて、全く反省する様子はない。国民は馬鹿ではない。もう一度やらせてもまた同じ事をやるのだろうと思うだけだ。政権を担当している間になぜその成長率目標を達成することができなかったか、どうすればよかったのかという説明が無い限り、民主党は消えたら良い存在でしかあり得ない。
政権を奪う直前の衆議院選の民主党のマニフェストには「マニフェストの実現により、家計で使えるお金を増やし、生活不安を解消する」とあったが、給料が減って生活不安は増すばかりの3年間であり、しかも国民を裏切る消費税増税法案を決めた。
その点、安倍さんの方がずっと真面目だ。第一次安倍内閣でなぜデフレ脱却ができなかったのか、どうすればよかったのかを5年間考え続けていたという。安倍さんは筆者と西岡参議院議長がきっかけを作った「増税によらない復興財源を求める会」の会長になり、「日銀が輪転機をぐるぐる回してお金を刷って復興財源にする」というアイディアを応用して、アベノミクス=日本経済復活の方法を思いついた。過去の反省がきちんとできていたからこそ、現在の安倍人気がある。
民主党が政権批判をしても説得力に欠く。自分達の失敗が何によるものかを理解していないからだ。この選挙の論戦はむしろ消費税増税を、今やるべきなのかどうかに集中してもらいたいものだ。折角景気が上向いてきてデフレ脱却の可能性がでてきたのに、それを潰してしまっては何にもならない。社会保障財源にするというが、景気を悪くして税収を減らしたら何にもならない。アベノミクス効果円安・株高となり2012年度、年金運用で11兆2222億円の黒字になった。また2012年度の税収も想定から1兆3244億円上回った。これも法人税の増加だ。まだアベノミクスは始まったばかりだが、すでに消費税5%分に近い収入があったことになり、これを使えば、消費税増税など今やらなくてもよい。景気が良くなるということは何と素晴らしいことか。民主党の皆さん、なぜ民主党は景気を上向かせる政策をやらなかったのですか。
民主党も自民党も名目成長率3%を目指している。諸外国と比べれば低すぎる目標だが、まずこの目標の早期達成のため全力を尽くして欲しい。名目GDPが3%増加すれば、国の債務のGDP比は約3%下がる。これは1000兆円の国の借金を3%減らすのと同じ効果を持つ。つまり借金を30兆円減らしたのとほぼ同じだ。どんなに増税しても国の借金を30兆円減らすことはできない。安倍さんも海江田さんもこのことをしっかり理解して、消費税増税の中止、又は延期を決断して欲しい。