小野会長の小論文を更新しました!(10/5)

2013年10月08日 23:43

デフレ下でも増税は余りにもリスクが大きすぎる
 
残念ながら消費税増税が決まってしまった。このまま突っ走れば、地獄が待っているかもしれないというのが歴史から学べることだ。恐慌は突然襲ってくる。昭和恐慌の際も、緊縮をすれば日本に明るい未来が開けると日本中が信じた。デフレの中で「緊縮財政」を肴に盛り上がったのだ。国民は〈お前塩断ち、私茶断ち〉〈うれし解禁とげるまで〉と「緊縮小唄」(西条八十作詞、中山晋平作曲〉を歌って金解禁を歓迎した。1930年は国債発行額を0にするための超緊縮予算となった。公務員給料の引き下げも行われた。
 
昭和恐慌前夜のこの危険な集団催眠に関しては現在の日本と多くの共通点がある。
①バブル崩壊後デフレが続いている。
②デフレなのに増税・歳出削減の議論が盛んである。
③緊縮政策に国民が理解を示している。
④IMFの影響を政府が受けている。
⑤公務員給与の削減を主張している。
⑥銀行の経営危機は何度も経験した。
⑦国債発行を抑えようとしている。


今、街でテレビ局が街頭インタビューをすると、消費税増税になったら節約すると多くの人が答える。これが怖い。政府も痛みを伴う改革をやるという。政府も国民も一斉に節約したらどうなるか。企業側は売り上げが減るだけでなく、消費税増税のための資金を確保しなければならない。そのためには、リストラや賃下げが必要で、そうなればますます消費が減るという悪循環に陥る。似たような現象は世界大恐慌やルーズベルト恐慌の際の米国等にも見られた。
 
もちろん、共通でないところもあり、大不況に陥らないよう祈るばかりだ。期待するのは、異次元の量的緩和だ。日銀は大規模にお金を刷って国債を買っている。そのお陰で円安・株高になったことでアベノミクスの成果のように思われているが、必ずしもそうとも言えない。この間米国の金利が上昇しているわけで、資金が高い金利を求め日本から米国に流れ円安の後押しをしている。実際、この流れは止まっておりむしろ今は円高・株安に向かい気味だ。この間も日銀は猛烈なスピードでお金を刷って国債を買い続けているから円高・株安の流れは説明できない。つまり、我々は異次元の金融緩和に過度に期待はできないということだ。
 
それでは第3の矢と称される成長戦略だが、民間投資を喚起する成長戦略ということになっている。それができるなら失われた20年は無かっただろうし、小泉改革に直接関与し構造改革を手がけデフレ脱却に失敗した安倍総理は、その効果についてはよく理解していることと思う。
 
デフレ脱却には、高橋是清流の大規模な財政出動が必要なのであり、増税はそれと真逆の政策、つまり昭和恐慌に日本を追い込んだ井上準之助流の経済政策なのだ。成長戦略では労働生産性を2%以上にすると主張している。それが実現すると、労働者は2%以上少なくてすむこととなり、リストラが進み失業者が増えることになる。生産性を高めることは非常に重要なことだし、TPPも国際的な分業を進め、不得意な分野を切り捨て、得意な分野を伸ばし労働生産性を高める取り組みの一つだ。しかし、重要な点が欠けている。それは消費を伸ばし、需要を拡大することだ。それなら企業は売り上げを伸ばし、生産性を拡大した分、生産を伸ばすことができる。
 
消費は可処分所得に比例するのだから、可処分所得を増やすことを最優先にしなければならない。しかし消費増税は可処分所得を実質的に減らすことは間違いない。安倍政権は消費を減らし、生産性を上げるという2つのデフレ悪化策を同時に行おうとしている。これは余りにも危険な政策で、その先には地獄が待っている。
 
たった一つ、安倍総理に知って頂きたいことがある。「輪転機をぐるぐる回してお金を刷った。」これは素晴らしい。だけど刷ったお金を使わなければ意味が無い。民間企業に、その金を借りてくれと頼んでも借りてくれるわけがない。バブルの時、借りすぎて不良債権が発生し、大変な目にあっているし、国の借金が増えて将来不安が頂点に達している現在だれが借りるだろう。しかもこれから大増税で消費が落ち込むことが目に見えているのだから新しい投資は厳禁だ。企業に給料を上げてくれと頼んでも、企業はとんでもないと言うだろう。そうでなくても利益が出なくて赤字に陥り、法人税を払っていない会社は7割もの上り、これからやってくる大増税と消費増税での消費の落ち込み、さらに駆け込み需要の反動による落ち込みで、経営の続行が危ぶまれている会社が賃金を上げるなど夢のまた夢ではないか。
 
おかしいよ。どうして刷ったお金を国が使えないのか。いまこそ、高橋是清流に政府がお金を使うときではないか。マネタイゼーション=通貨増発と思われるから??思われたってよいではないか。デフレには通貨増発で対抗するしかない。債務のGDP比は日本は237.9%で世界175カ国中ぶっちぎりの世界一。これはデフレだからだ。インフレ率の高い国は債務のGDP比は低い。逆の相関関係がある。つまり、財政規律を破り、思いっきり財政出動をすれば、デフレ脱却が可能となり、債務のGDP比は激減する。つまり将来世代へのツケを減らすことができるのだ。将来世代のためを真に考えれば、今こそ決断の時ではないか。

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